「カメラの映像を注視していたら20メートルくらいの幅で堤防が決壊した。その後、幅は80メートルに広がった」。さいたま市の国土交通省関東地方整備局で、担当者が厳しい表情で説明した。
集中豪雨をもたらしたのは、「線状降水帯」と呼ばれる気象現象だ。
気象庁によると、9日に本州に上陸した台風18号は温帯低気圧に変わったが、列島の上空には氷点下9度の空気の固まり「寒冷渦」があり、湿った空気が低気圧の周囲を回り込むように関東や東北に入り込んだ。
さらに台風17号からの湿った空気も入り、ぶつかり合った空気が上昇気流となり、激しい雨をもたらす積乱雲が発達。
こうした複合要因によって、雨の降る区域が帯状に広がる線状降水帯が生じ、幅約200キロ、長さ約500キロに及んだ。気象庁のベテラン職員は「これほどの長さの降水帯はあまり見たことがない」と話す。