解除しても住民帰還が簡単に進むわけではない。これまで田村市都路地区と川内村の一部で解除されたが、帰還した住民はそれぞれ約54%、約14%にとどまる。
楢葉町には荒れた住宅が点在し、除染廃棄物が入った黒い袋もいたるところに積まれたまま。失った故郷をどう取り戻すか-。「解除は終わりではなくスタートラインにすぎない」と、楢葉町の松本幸英町長。国、自治体は、住民が安心して戻れる環境づくりを進めなければ「真の復興」は訪れない。(SANKEI EXPRESS)
■原発事故の避難指示区域 政府は東京電力福島第1原発事故に伴い、周辺の地域で年間の被曝(ひばく)線量に基づき、「帰還困難区域」(50ミリシーベルト超)、「居住制限区域」(20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)、「避難指示解除準備区域」(20ミリシーベルト以下)の3種類の避難指示区域を設定した。これまで田村市都路地区と川内村の一部を解除し、楢葉町は3例目。避難指示区域はほかに、南相馬市、飯舘村、川俣町、葛尾村、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、川内村の9市町村に残る。政府は帰還困難区域以外の2区域を2016年度末までに解除したい考え。