東京電力福島第1原発事故で全町避難している福島県楢葉町への避難指示について、政府は5日、住民が帰還できる環境が整ったとして、解除する。2014年4月の福島県田村市都路地区、14年10月の川内村の一部に続き3例目の解除で、全町避難の自治体では初。
楢葉町は、ほぼ全域が比較的放射線量の低い「避難指示解除準備区域」だった。政府は福島県内の避難指示解除準備区域と「居住制限区域」を17年3月末までに解除する方針。今回の楢葉町の解除を機に、他の自治体でも順次、解除を進めたい考えだが、生活インフラの整備が進まず、放射線への不安などから、実際に住民の帰還が進むかどうかは不透明だ。
4日夜、楢葉町の総合運動場では、津波で亡くなった人への鎮魂と町の復興を願い、町民やボランティアらが約3000個のろうそくに火をともした。いわき市に避難中の高橋尚子さん(69)は、現在自宅をリフォーム中。今月末にも自宅に戻るつもりで、「楢葉は大切な自分の居場所。必ず帰る」と話した。