【国際情勢分析】
宗教上の理由などから妊娠中絶が厳しく制限されているカトリック国ポーランドに、女性の権利向上を訴えるオランダの市民団体が、小型の無人機ドローンを使って人工的に中絶できる薬を運び込むパフォーマンスを行い、論議を呼んでいる。
ポーランドに薬を運搬
英紙ガーディアンは、この市民団体は安全な人工中絶を行うために薬が必要な女性を救おうとした、と報道。「中絶ドローン」は隣国ドイツから飛行して国境を越え、「ポーランドの厳しい法律に対する関心を世間に喚起した」と伝えた。
一方で、ポーランドのカトリック系保守紙ナシュ・ジェンニクは、オランダの団体は胎児を犠牲にする「死のドローン」を送ったのだ、と痛烈に非難した。さらに「ナチスは占領時代に中絶と育児制限を推進し、ポーランドの破滅を試みた」とまで反論し、改めて人工妊娠中絶は許されないとの立場を示した。
ポーランドでは、社会主義政権下で認められていた人工中絶について、民主化後の1993年に原則的に禁止する法律が施行された。中絶は母親がレイプ被害を受けたり、出産で母体が危険にさられる場合などにのみ認められている状況にある。