ロシアの排他的経済水域(EEZ)で、日露漁船が操業するサケ・マスの流し網漁を来年1月から全面的に禁止する改正法がロシアで成立し、戦前から100年以上続いてきた北洋サケ・マス漁の伝統の灯が消える。国内市場への影響は限定的とされるが、戦後70年を迎えても北方領土問題は未解決で、狭まる一方の漁場に出漁・水揚げ拠点の北海道根室市では危機感が広がる。
町の存亡に関わる
「操業禁止は地元経済や北海道経済に大きな影響を与え、強い危機感を持っている」。北海道の荒川裕生(ひろき)副知事は2日、農林水産省を訪れ、こう強調した。同席した根室市の長谷川俊輔市長も「町の存亡に関わる問題だ」と述べ、地元漁業者などへの支援を要請した。
根室市の試算によると、禁漁による損失額は北海道東部だけで約251億円に上り、うち根室市は8割を占める。約251億円の内訳は漁業・水産加工業が約158億6800万円と最も多く、運輸業が20億4000万円、船舶資材業が約10億2800万円。石油販売、造船・機械鉄工業はともに8億円を超え、食品小売業等も約2億4000万円と影響は広範囲にわたる。