1925年、ノームの町でジフテリアが大流行、人命を救うためにアンカレジから犬ぞりによるリレーで血清を運んだ実話はアニメ映画「バルト」の題材にもなった。現在は誰も住んでいないアイディタロッドは、世紀末から20世紀初頭の一時期、ゴールドラッシュに沸き、犬ぞりレースは一山当てようと野望を抱く男たちの娯楽にもなっていたという。
≪80チームの争い 女性の実力者も≫
犬ぞりは、馬などに代わって人荷輸送に使われた。シベリアやアラスカなど寒冷地では馬や車輪が雪上で使えないために、寒さに強く持久力にも優れ、人間に従順なそり犬を使った犬ぞりは、スノーモービルが普及するまでは重要な移動手段となっていた。北極圏では氷の下は海であるため、氷の割れ目から落下しないように自ら判断して避けることができる犬は重宝されたのだ。