「英語表現、もっと深める」
演出を担当したバートレット・シャー氏(55)は米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで「確かに(渡辺さんの英語は)心配だ。しかし、彼に演じてもらうことで(英語が母国語でない東洋人と)西洋人との出会いのリアリティーが伝わる」と説明。「『硫黄島からの手紙』(2006年)で見せた彼の威厳にあふれ、一方で抑制が利いた演技に感銘した。あの時から、王様は渡辺さんと決めていた」と語った。昨夏、カナダ・バンクーバーで映画「ゴジラ」の撮影中だった渡辺さんに直談し、出演を固辞していた渡辺さんを「ベストダンサーもベストシンガーもいらない。とにかく根っから王様が演じられる役者が欲しいのだ」と口説き落としたという。
会見で渡辺さんは「自分の感触と相手(観客)の感触を通じ、本当にここでショーをやっているという実感が足元から感じられた一晩だった。深いテーマ性があるこのミュージカルを今、観客に届けられることに喜びを感じる」と語った。その上で4月16日の本公演初日に向けて「英語で表現する力をもっと精度を上げ、深めていかないといけない」と強調した。渡辺さんは7月まで出演する。55歳、まだ限りなき挑戦の途上にある。(SANKEI EXPRESS)