「資本主義」を舞台にのせてみたらどうなるか-。若手気鋭の劇作家、谷賢一(32)の新作「トーキョー・スラム・エンジェルス」は主演に南果歩(かほ、50)を迎えて、近未来を舞台に「お金の意味」を問う。「といっても人情劇みたいなもの。激動する経済を背景に、それぞれの立場の人がどう動くかを描きました」
舞台は2020年の東京五輪が終わった後のいつか。景気が停滞して少子高齢化が進み、人口の3分の1が高齢者。都内では空き家やシャッターを下ろした商店が増え、失業者や不法滞在の外国人が集まる「トーキョー・スラム」と呼ばれる地区ができた。南が演じる証券ウーマン「オガタ」の別れた夫は、ここでラーメン店を経営、2人の間の一人息子がスラムに出入りしていることを知り、訪ねていく-。
目に見えない世界で巨額の資金が動く金融市場と、「うまい、まずい」が全てで、商いの原点でもあるラーメン店を対比し、景気回復が期待される現代に、あえて将来への警鐘を鳴らす意欲作だ。