カナダと米国との境に位置するナイアガラの滝は人の英知など及ばない自然の「力」そのものだ。そんな世界三大瀑布(ばくふ)の1つも、零下20度を下回る日が続くと凍結する。
辺り一面は雪と氷に覆われた白銀の世界。水しぶきによって岸壁には白鬚(しろひげ)のような氷柱が連なり、周りの木々や街灯さえ樹氷の花を咲かせる。
凍結の度合いは気象で左右されるが、「アイスブリッジ」と呼ばれる自然現象が起きた今年は例年より厳しいようだ。滝の上から下までが柱のように凍結してつながった荘厳な姿を、世界中から訪れる観光客に見せている。
1月にはカナダ人男性が初めてアイスブリッジを利用して、凍結したナイアガラの滝を登り切ったことが伝えられた。彼の身体を支えたのは2本のアイスバイル(アイスクライミング用のピッケル)と、靴の先端に2本の爪が付いたアイゼンだけだったという。
毎分1億5500万リットルもの大量の水が50メートル下の滝壺へと流れ落ち、爆風のごとく水しぶきを舞い上げる。ナイアガラの滝の観光は、春から秋にかけてのシーズンが定番だ。