人民元は日米欧など先進国でそのまま使える「ハードカレンシー」とはみなされていない。ところが、銀聯カードで人民元を外貨に替えなくても使えるのだから、中国人旅行者にとってそのハンデはない。彼らは打ち出の小づちのごとく沸いてくるカネを思う存分に海外ショッピングに投じているわけである。東京・銀座もパリ・シャンゼリゼもニューヨーク5番街もそのチャイナ・マネーで潤う。
そればかりか、特権を持つ中国の富裕層や党幹部は人民元をうまく外貨に替えて、世界の各地の高級不動産物件を買いあさっている。このままチャイナ・マネーが膨張を続けるようだと、世界のモノも不動産もことごとく中国人に買い上げられるのではないか、とすら想像してしまう。
パワーの源はドル
奇怪な人民元パワーの源泉は実はドルにある。人民銀行は管理変動相場制度を堅持し、中国に流入するドルをことごとく自身が決める交換レートで買い上げ、その分の人民元を市中に流し込む。人民元はドルに対して安定し、しかも、国内ではインフレ率も低位に推移している。となると、人民元の通貨価値は超安定というわけで、国内外で信頼されてくる。