最大で200歳まで生きるとされるホッキョククジラ。科学者がその全遺伝情報(ゲノム)を解析した結果、損傷したDNAの修復などをつかさどる遺伝子が他の哺乳類のものと異なっていることが分かった。今後、これらの遺伝子の解明を進めることで、人間の寿命を延ばしたり健康状態を改善させたりすることができるといい、研究者の間で注目を集めている。
全長18メートル、150~200歳
論文は米科学雑誌「セル・リポーツ」に掲載された。それによると、ホッキョククジラが他の哺乳類と異なっていたのは、DNAの修復のほか、細胞分裂の周期やがん細胞などをつかさどる遺伝子。これら特定遺伝子のメカニズムを解明することができれば、ホッキョククジラが持つ驚異的な長寿の謎に迫れるという。
研究を主導した英リバプール大学の遺伝学者、ジョアン・ペドロ・デ・マガリャエス氏はロイター通信の取材に「ホッキョククジラが持つDNAを補修したり、病気を治す遺伝子の正体を突き止めることによって、われわれは長寿や健康の秘密を知ることができ、その知識を人間の健康の改善や生命の維持に生かすことができる」と今回の研究成果を強調する。