2010年に主演、初めて演出を手がけた米国のロックミュージカル「ゴッドスペル」では、未完成な若手をあえて出演させた。「どこかで習ったうまさに魅力はない。お客さんは下手と思うかもしれないけど、足りない人こそ、すごいものを秘めている。怖かったりハラハラするところが第一歩になる」
俳優としての原点はチャプリン。子供のころ「モダン・タイムス」や「キッド」などの映画を「不思議な人だなあ」と感じながら見つめていた。「斜(はす)から世間を見るレジスタンスがある。絶対に面白いと自分で思ったのでしょう。そんな確固たる自信やエネルギーを僕も持ちたい」
自分が良いと思うものを信じて、何かを変えたいと突き進む姿勢は、ヒューイとだぶる。「僕はボイストレーニングやダンスなど基礎をきちんと勉強したことはなくて、自分がかっこいいと思う物を具現化してきた。僕を見習ってくれる人がいるのなら、僕のように一人でいてほしいと思います」。一匹おおかみの「ロック魂」は、どこまでもかっこいい。(文:藤沢志穂子/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)