若い女性だけではなく、多くの女性が反応する言葉といえば、「ダイエット」と「ファッション」。沢尻エリカさん(28)を主演に起用した「ファーストクラス」は、後者のニーズを当て込んで製作されたようだ。ストーリーには、恋はもちろん、養護施設へのやさしいまなざしや服飾の「手作り感」の大切さなどが盛り込まれたが、視聴率的には苦戦した。
ドラマの嗜好(しこう)が「きょうは会社休みます。」と「ファーストクラス」に分かれながらも、「ドクターX」の主人公に憧れる女子学生たちに共通しているのは、希望の生き方を社会的に実現する努力よりも、個人として実現する努力を大事にしていることだ。だから、政治による実現などには期待せず、投票所にも足を運ばない。
女子学生と政治の間には絶望的になるほどの「隔たり」がある。恐ろしいのは、今の日本では、その隔たりのおかげで、彼女たちの不満が政治へと向かわず、政権が維持されているかもしれないことである。(同志社大学社会学部教授 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)