大地に大きく枝を広げた巨木をバックに「この木なんの木」という歌が流れるテレビCM。懐かしさとともに、誰もがメロディーを口ずさむことができるだろう。1975年から日立製作所をはじめとする日立グループ提供のテレビ番組のCMに使われているもので、曲の正式なタイトルは「日立の樹」。映像や楽曲のアレンジを変えて、現在も放映されている。
「この木」は米ハワイ州オアフ島のホノルル空港からほど近い「モアナルア・ガーデンパーク」にあった。日本人観光客は帰国する前に、この公園に立ち寄ることが多いようだ。
公園はもともと、ハワイ王国を建国したカメハメハ王家の所有で、1850年代にカメハメハ5世の別邸として建てられたコテージも残っている。CMの映像では、どれだけ広大な自然の中にたたずんでいるのかと思ったが、実は高速道路沿いの車の走行音も聞こえるような騒がしい場所で、駐車場から歩いてたった2、3分という、手軽な観光スポットなのには驚いた。
気温30度を超える南国の太陽が照りつけるが、木の下に入るとすっぽりと涼しさに包まれ、癒やされる感覚を覚えた。またその一方で、周囲7メートルの太い幹からは枝が血脈のように巡り、覆いかぶさるような迫力を感じた。