この中には19歳の少女もいた。青果店を経営する親類のモハメド・アフメド氏(39)によれば、少女は2014年8月に姿を消した後、シリアから突然、携帯電話でメッセージを送ってきた。高校時代の成績は優秀で、社交的な性格。少女がどのように勧誘されたかは分かっていない。
移民の若者が過激思想に傾く理由の一つは失業だ。
イスラム国に合流した若者の家族から相談を受ける「ソマリア教育社会対策団体」のアブディリザク・ビヒ代表(49)は、「街で5人と会えば仕事があるのは1人だけ。母国で医者だった者もタクシー運転手をしている」と話す。
ミネソタ大のカオ・アブディ助教授(社会学)は、警察によるソマリア系を狙った職務質問も反米感情をかき立てていると話した。
貧困にあえぎ、怒りをくすぶらせる人々にとり、イスラム国の主張は魅惑的だ。ネット上には潤沢な資金や充実した社会福祉を喧伝するイスラム国の動画があふれる。ソマリアの過激組織アッシャバーブの勧誘ビデオも「戦場は“ディズニーランド”だ」と言葉巧みに宣伝。彼らを「聖戦」にいざなうイスラム導師らも市内で暗躍しているという。