政府は、外相会談や次官級対話などの場で、加藤前支局長のコラムをめぐる問題を必ず取り上げ、慎重な対応を求めてきた。だが、韓国側は日本政府の再三の訴えや、国際社会の強い懸念を無視するように在宅起訴に出た。
外務省の伊原純一アジア大洋州局長から呼び出された金元辰(キム・ウォンジン)駐日韓国公使は、在宅起訴が日韓関係全体に与える影響について「無関係だ」と強調した。
これに対し、外務省幹部は「日韓関係が改善に向けて動いていただけに、今回の在宅起訴は大きなダメージだ」と指摘した。さらに「韓国は先進的な民主主義国家のはずだ。言論の自由、報道の自由は保障されてしかるべきではないか」と強い不快感を示した。
政府は、APECでの日韓首脳会談実現に向け対話路線は維持する構えだが、政府高官はこう語り、天を仰いだ。
「加藤前支局長の一件で首脳会談を呼びかけないことにはならないが、いろいろなことが前に進みにくくなる」(山本雄史/SANKEI EXPRESS)