11年12月、私はオノヨーコさんを迎えたイベントでサルサと共演。忌野清志郎さんが和訳した「イマジン」を初めて一緒に歌った。あの時の解放感はこれまで感じたことのないものだった。ステージ上では、誰が障がいのあるメンバーなのか分からなかった。分からないから、そばにいるメンバーに小声で「次の曲のあとMC入る?」と聞いて、知的障がいがあるパーカッショニストにニコーッと笑顔で返されたりした。
哲ちゃんはギターをかき鳴らしながら「人種も地位も学歴も障がいも関係ねー!」と叫ぶ。そして、「余暇活動でロックやってんじゃない! ロックでご飯食べてんだー!」と右手を掲げ、人さし指を立てる。
13年の「日比谷野音90周年記念事業~10円コンサート」に出場したときのハートのつかみ方は圧巻だった。サルサをほとんど知らないお客さんたちは、メンバーがステージに登場すると「???」となり、ザワザワした。ステージと客席に微妙な距離が生まれ、見えない壁が感じられた。