サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会が6月12日午後(日本時間13日未明)開幕。昨年(2013年)6月のコンフェデレーションズカップ開催時と同様、大会を「人質」にして福祉や教育の充実を求める抗議デモが計画されており、順調に大会が実施できるか予断を許さない。一時は高度成長で「新興国の雄」ともてはやされ、2年後に五輪を控えるブラジルだが、治安やインフラの改善が進まず、国民の不満は大きい。
「要求を通すなら今」
街は緑と黄色のナショナルカラーに包まれ、国旗が無数にはためく。壁には代表選手の似顔絵や競技場の絵が描かれた。その絵の上に「W杯はやめよう」と黒ペンキの文字。公金の無駄遣いや政治家の汚職を批判するスローガンも多い。
デモを呼び掛ける過激派や、公務員のストライキを主導する労働組合幹部は「政府は今、恥をさらすわけにはいかない。要求を通すなら今しかない」と口をそろえる。