サッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会(6月12日~7月13日)の開幕まで2カ月余りとなる中、ブラジル政府は4月5日、治安状況の改善が見られないリオデジャネイロのファベーラ(スラム街)に約2700人の軍・警察部隊を投入し、街を“制圧”した。国防省は、部隊の駐留は7月末まで続けるとしており、海外から大量のサッカーファンが来訪するのに備えて、力ずくで街の暴力鎮圧に乗り出した形だ。
ヘリや装甲車配置
ファベーラは主に麻薬組織に支配されたスラム街で、ブラジル全土に存在するが、とりわけ丘の上に積み重なるように貧しい家々が軒を連ねるリオのファベーラは有名。リオの人口(約630万人)のほぼ4分の1がファベーラの住民とされる。5日に軍・警察部隊が投入されたのは、数あるリオのファベーラの中でも最も危険とされるマレ地区のファベーラだ。
マレ地区はリオの国際空港にも近く、W杯が始まれば多くのサッカーファンが通る可能性があることから、当面、部隊が駐留することになった。ブラジル最大のマラカナン・スタジアム(収容7万7000人)を抱えるリオでは大会期間中、決勝戦を含む7試合が行われる。