まるで宣戦布告
ブラジル政府は2008年から、全土でファベーラの治安強化作戦を実施。地区によっては劇的な効果が現れているが、リオのマレ地区では一向に改善がみられず、逆に今年に入ってから治安が悪化し、4人の警察官が麻薬犯罪組織に射殺されるなどした。リオデジャネイロ州のジョゼ・ベルトラム内相は「ギャングの首謀者たちは、W杯を前にまるで『宣戦布告』しているかのようだ。30年以上にわたってファベーラを支配している連中が簡単に音を上げるわけがない。今は非常事態で力ずくで抑え込むしかない」と話している。
5日早朝、マレ地区の住民たちは恐る恐る部隊の進駐を見守り、同行取材で街に入った記者たちの質問には、ほとんどの住民が犯罪組織からの仕打ちを恐れて沈黙を決め込んだ。そんな中、口を開いた73歳の女性はAFPに「束の間の治安維持もW杯のため。終わればまた元に戻ってしまう。何も変わらない」と悲しげに語った。(SANKEI EXPRESS)