【牧野直子の健康ごはん】
「すき煮」は地方によっては「すき焼き」と呼ばれる、牛肉を野菜としょうゆ、みりんや砂糖などの調味料で煮た料理。鍋料理なのに「すき焼き」と呼ばれるのは、農具の鋤(すき)の上で肉を焼いたことによるそうです。
なぜ、農具の上で焼いたのか? 明治維新より以前は、日本では宗教的な理由により獣の肉を食べない習慣があり、人目につかない野外で料理をしたからだとか。ふだんの調理器具が穢(けが)れることを嫌って鋤を使ったなどと言われています。
そうまでして食べた肉はおいしかったのでしょうね。今では、高級な牛肉を使えばごちそうですし、手ごろな値段の肉で作れば、普段の夕飯や弁当のおかずになる人気の料理です。わが家では私が不在時のおかずリクエストの第1位です。作り置きを温め、ごはんにのせるだけだから手軽なのだそうです。翌日の弁当にも入れてほしいとリクエストされるので、必ず多めに作ります。
今回のレシピは大人の生活習慣病予防や太りにくい適量を考え、牛肉を1人分50グラム(159kcal)、ごはんを150グラム(252kcal)にしていますが、育ち盛りのお子さんなら肉を80グラム(254kcal)くらい、ごはんを200~250グラム(336~420kcal)に増やすとよいでしょう。