【国際政治経済学入門】
2月22日からシンガポールで環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)閣僚会合が始まる。TPP交渉は、「日本のコメ対米国の自動車」という構図にある。ところが、国内メディアは不十分な知識で報道しているから、なぜこうも米国が日本に対して強硬なのか理解できなくなる。
典型的なのが2月16日付の日本経済新聞朝刊第3面の「日米『聖域』妥協点探る」というトップ記事である。この記事は、米国の「自動車」関税率が2.5%、「トラック」関税率が25%だという説明の基に書かれている。一見すると、「トラックは高関税だが、日本の輸出には大した影響はないから、まあいいじゃないか。2.5%の自動車関税の方が重要だ」と思わされる。ところが、米国はトラックの高関税でゼネラル・モータース(GM)など米自動車ビッグスリーを保護している。その仕掛けは米国特有の関税分類にある。