幼いほのかと野良猫。「どちらも人間の大人が『何かしよう』と思ったら、抵抗できない立場。なんとなく通じ合う所がある。家族を持たない権じいもまた、社会からはみだした存在ともいえる。型にはまっていなくても、互いに少しずつ心の支えになりあうだけで、幸せになれる。野良猫が生きていける空気が、そういう幸せにつながっていくんじゃないかな」
彼らから気づかされる
作品の中で書かれる猫たちは、愛くるしいだけではない。特に大ボス・ノブナガの貫禄たるや、だ。子猫を助けたり、流しの猫と対決したり。任侠映画の親分のよう。「ボス猫の威厳ってすごい。昔、勝手にボス猫が部屋の中に入ってきたことがありました。うちの猫を家来のように従えて、『ここはオレのテリトリーだ』みたいに、タンスの上から見下ろしている。『乗っ取られる!』って思わず震えましたよ(笑)。でも、うちの猫が他の猫に襲われたときにはサッと助けにきたりして。猫社会を仕切っているわけです。不思議な生き物だなあ、としみじみ思いました」