食事スペースは、テーブルや掘りごたつの席がゆったり配され、和を基調とした落ち着いた個室も。それぞれの部屋を彩る生花や日本画などの調度品も見逃せない。食事が運ばれてくるまでの時空間を盛り上げること請け合いだ。
彩り豊かで、季節の香り漂う前菜の盛り合わせが並ぶ。小カブのとろ湯葉掛け、千枚漬けずしなどが一口サイズで上品に飾られ、京都の“旬”を目、舌ともに丸のみできる。
続く大根煮もなかなかだ。冬場の霜や冷温で甘みが増した京都産の大根を、だしをたっぷり浸み込ませた定番メニューは、静閑としたこの時期の京都を感じさせてくれる。
高級和牛のごとき味わい
メーンはもちろん、創業80余年の伝統技術を生かした西京漬け。一切れずつ丹念に仕上げた寒ブリの「蔵みそ焼き」は、表面の照りやふっくら感を見るだけで上質な食感が伝わってくるようだ。魚の生臭さはまったくなく、まるで高級な和牛のごとき味わい。一卓ずつ土釜で炊き込み、ふっくら仕上げた熱々ご飯に運ぶ箸のペースもどんどん進む。