【京都うまいものめぐり】
≪味を落とさず、価格は抑える≫
観光客らで年中、にぎわいをみせる祇園・花見小路通。少し脇に入ると、閑静な住宅街の雰囲気のなか、古めかしく重厚な日本家屋が目に入る。牛肉しゃぶしゃぶを日本で初めて発案したという十二段家本店だ。築約150年という店内は、お茶屋さんを改装したシックな造り。何より興味を引かれるのは、各座敷にさりげなく飾られている板画家、棟方志功(1903~75年)らの作品の数々。単なる調度品として、ごく普通に並ぶ作品の息づかいが聞こえてきそうな空間で味わう料理は、悠久の歴史ロマンの世界へ誘ってくれる。
棟方志功らの作品が
花見小路通のにぎわいが嘘のような閑静にたたずむ十二段家本店。歴史の重みを感じさせる日本家屋の格子戸を開ける。靴を脱ぎ、人ひとりがやっと通れるほどの幅の急な階段を上がる。案内された和風の個室には、素人目にも趣があると分かる調度品がところ狭しと飾られていた。