私の「誘導尋問」にもひっかからず、アデルの口から不平不満は一切聞こえてこない。ルールの間をすり抜け、たくましく、そしてしなやかに生きる姿を見て「意志があれば道は開く」、こんな言葉が浮かんできた。
「奴隷」の青年と、キューバ中を疾走して夢を追う中年男性。同じ島の中で、彼らの目に映る社会主義国家キューバは、全く別の輝きをみせていた。
メキシコから始まりキューバに寄って、ブラジルにたどり着くまでの9カ月間にわたるラテンアメリカ諸国の愉快な日々を、時にはニュースな視点も交えてお届けする。(写真・文:フォトグラファー 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS)
■みどりかわ・まなみ 1979年、東京都生まれ。フリーカメラマン。高校時代南米ボリビアに留学、ギリシャ国立アテネ大学マスメディア学部卒業。2004年のアテネ夏期五輪では共同通信社アテネ支局に勤務。07年、産経新聞社写真報道局入社。12年に退社後、1年半かけて世界ほぼ一周の旅。その様子を産経フォト(ヤーサスブログ)とFBページ「MANAMI NO PHOTO」でも発信中。好きな写真集は写真家、細江英公氏の鎌鼬(かまいたち)。