「東電任せのままでは何も解決しない。国が前に出るしかない」。経済産業省幹部は、政府の方針転換の理由をこう明かす。
引き金となったのは2020年の東京五輪の招致だった。
安倍晋三首相は9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、福島第1原発の汚染水問題に触れ、「状況はコントロールされている」と宣言。これを受け、経産省幹部からは「首相が世界に“公約”した以上、政府は本気で取り組まないといけない」との声が目立つようになった。
11月に自民、公明両党の東日本大震災復興加速化本部が除染などへの国費投入を柱とした提言をまとめ、国は、中間貯蔵施設の建設・運用に必要な1.1兆円を負担することにした。交付国債による東電への無利子融資枠も5兆円から9兆円に拡大された。
ただ、新計画実現の鍵を握る柏崎刈羽6、7号機の再稼働について、泉田知事は慎重な姿勢を崩していない。安全審査を通過しても、再稼働に知事の了解が得られる見通しは立っていないのが実情だ。