国内では年間約17万頭もの犬や猫が保健所に引き取られ、殺処分されていることをご存じだろうか。そのとてつもなく大きな数字をまずは頭に入れてもらい、飼い主のあるべき姿や、軽んじられがちな命の大切さを考えるきっかけになれば-との願いを込めて制作された映画「ノー・ヴォイス」(古新舜監督)が、東京・オーディトリウム渋谷で公開中だ。
お粗末で無責任な飼い主
本作は、ドラマ編(70分)とドキュメンタリー編(30分)の2部構成。ドラマ編では、毎日を漠然と怠惰に過ごし、職場の保健所でも責任感のかけらもない態度を取る青年、神楽鉄(市瀬秀和)が捨て犬と出合い、少しずつ生きることは何かを考え、人間として成長していく姿に、カメラは優しいまなざしを向けている。ドキュメンタリー編は、動物愛護に取り組む人々の姿が紹介されている。