アニメーションの世界を牽引する若手の筆頭格として映画ファンからも注目される吉浦康裕監督(33)は、6歳まで北海道で育ったそうだ。通っていた幼稚園のコンセプトは「野山で自由に遊ぶ」という実に個性的なもので、仲良しの友達とスキーや沢下りに挑戦する楽しい毎日だった。吉浦にはその頃からずっと気になっていた不思議な風景がある。「お天気の日に広々とした北海道の空を見上げると、空は高いところから見下ろしている雲海のように見えました。地面に立っている自分は、たまたま天井に足が張り付いているだけではないのだろうか」
幼少期の疑問を基に
幼き日にふと感じた疑問がベースとなり、30年近い時を経て、吉浦自らが原作、監督、脚本を務めた劇場用の長編アニメーション作品「サカサマのパテマ」として実を結んだ。近く英仏での劇場公開も決まり、彼の世界観は着実に世界へと浸透し始めている。