北朝鮮が大衆音楽の振興に力を入れている。昨年お披露目された女性グループは依然人気が高く、平壌の音楽大学は今年から歌謡曲の歌手育成に本腰を入れ始めた。
金正恩第1書記は、歌を体制強化の“武器”とした金正日総書記の「音楽政治」を忠実に継承しつつ、若さや華やかさを前面に新機軸も追求しているようだ。
10月のある日の午後、平壌市内の体育館。照明が落とされた館内で、白の帽子に半袖のジャケット、ミニスカート姿の女性18人がライトの中に浮かび上がった。ボーカル7人、楽器奏者11人の「牡丹峰(モランボン)楽団」が、朝鮮人民軍の「功勲国家合唱団」と合同で開いた公演だ。
ボーカルのメンバーが軽やかにステップを踏み、両腕を振ってポーズをとる。レーザー光線やシャボン玉を使った演出もあった。観客席では、普及が進む携帯電話などで写真を撮る若者が目立つ。公演が終わるとファンが舞台に駆け寄り、お気に入りのメンバーに花束を渡した。