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ああ恐ろしい 犬、姉、絵の力 乾ルカ (2/5ページ)

2013.11.25 17:30

札幌のほぼ中心部にある中島公園。10月の末に訪れましたが、北の町では早くもイチョウが色づいていました=北海道札幌市中央区(乾ルカさん撮影)

札幌のほぼ中心部にある中島公園。10月の末に訪れましたが、北の町では早くもイチョウが色づいていました=北海道札幌市中央区(乾ルカさん撮影)【拡大】

  • いつもは乾家の愛犬・まるが札幌をご案内していますが、今回は先代犬で『アンジュール』の著者と同じ名前のガブリエル。約2年前に亡くなってしまいましたが、おっとりした優しい子でした=北海道札幌市(乾ルカさん撮影)
  • 「アンジュール」(ガブリエル・バンサン著/BL出版、1365円、提供写真)

 文章が一つもない

 犬を題材にした作品、活躍する作品は、小説のみならず数多くあり、枚挙にいとまがありません。私自身、好きな作品もいっぱいあります。

 その中で、とりわけ印象深いのは、捨てられて愛情を失った犬が、あてどなく放浪してゆくさまを描いた『アンジュール』です。

 これは絵本のカテゴリーになるのでしょうか。でも、普通の絵本とは少し違います。文章が一つもないのです。擬音もありません。ページにはラフスケッチのようなタッチの、モノクロの絵があるのみです。

 この『アンジュール』という作品は、中型犬サイズの犬(猟犬っぽい、スマートで均整のとれた犬です)が、無慈悲に車から捨てられるところから始まります。犬は突然のことに驚きつつ、懸命にご主人様が運転する車を追いますが、無情にも車は走り去ってしまいます。

 最初の捨て犬シーンの、まるでゴミでも投げ捨てるような「ぽいっ」という感じ、自分を捨てた飼い主をそれでも慕い、車を追いかける犬の必死さ、一人ぼっちになってしまったと悟り、走るのをやめてとぼとぼと歩きだす哀れさと諦めが、ラフなタッチの線の端々から滲み出ていて、犬好きな方なら、まずここで胸を絞られること請け合いでしょう。絵本の中に入っていけるものなら、最初のページで車から愛犬を捨てた飼い主に、頭突きの一つもかましてやりたいところです。

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