Q 違憲でも選挙は無効にならないのですか
A 最高裁は初めて衆院選を違憲とした1976年の判決で、公益を著しく損なう場合は無効を回避できる「事情判決の法理」を適用しました。訴えが起こされた選挙区だけを無効にしても、全選挙区を対象に公選法の区割りを改めなければ根本的な解決にはならず、大混乱を招くからです。
以降は、違憲でも選挙自体は有効とする判決が定着しました。しかし、今回の訴訟では高裁で戦後例のない無効判決が2件言い渡されました。
Q 厳しい内容です
A 司法が一票の平等を重視する姿勢は強まっています。最高裁は2011年3月、最大格差が2.30倍だった09年の衆院選を違憲状態と判断し、47都道府県にまず1議席を配分する「1人別枠方式」の速やかな廃止を求めました。
これに対し、国会が小選挙区定数を300から295に減らす「0増5減」をし、1人別枠を条文から消す選挙制度改革関連法を成立させたのは昨年11月の解散当日。翌月の選挙に区割りは間に合わず、最大格差は2.43倍に広がったのです。