日本政府は11月23日、中国が尖閣諸島上空を含む東シナ海に防空識別圏を設定したことを受け、「わが国固有の領土である尖閣諸島の領空を含むもので、全く受け入れることはできない」として、中国側に厳重抗議した。自衛隊機などが尖閣付近を飛行した際に中国機が緊急発進(スクランブル)することも否定できず、政府は警戒を強めている。
安倍晋三首相は23日夕、公邸で米村敏朗(よねむら・としろう)内閣危機管理監や兼原信克、高見沢将林(のぶしげ)両官房副長官補らの報告を受け、対応を協議。外務省の伊原純一アジア大洋州局長は23日、韓志強駐日公使に電話し、「尖閣諸島をめぐる状況を一方的にエスカレートさせるもので、現場空域で不測の事態を招きかねない非常に危険なものだ」と抗議した。
防空識別圏は、各国が防空の必要上それぞれ国内法で設定しており、中国の防空識別圏に日本が従う義務はない。今回の設定は、尖閣諸島を自国の領土と主張する中国の示威行動の一環とみられている。日本も東シナ海に独自の防空識別圏を設定し、自衛隊が地上レーダーや早期警戒管制機(AWACS)などの空中レーダーで空域を常に監視。進入してきた国籍不明機には、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して動向を把握している。