≪国の制裁金支払いは不可避≫
長崎地裁の仮処分決定は、福岡高裁確定判決に従って開門準備を進めてきた農林水産省にとって「想定外」の司法判断だった。農水省は仮処分への異議申し立てを検討するが、決定内容の分析などに「2~3週間かかる」(幹部)とみられ、来月(12月)20日の期限までの開門は極めて困難な状況となった。
ある政府関係者は「異議申し立てしなければ、確定判決に背くことを意味する」とし、申し立ては避けられないとの見方を示す。ただ、裁判所が申し立てを受けてから結論を出すまで数カ月かかった例もある。来月(12月)20日の開門期限を過ぎた後もある程度の期間、差し止め仮処分の効力が継続する可能性がある。
福岡高裁で勝訴した漁業者側は、国に制裁金の支払いを求める「間接強制」に打って出る考え。「仮処分があっても、国が開門を決断せず期限を過ぎれば確実に申し立てる」(馬奈木昭雄(まなき・あきお)弁護団長)としている。
一方、長崎県の中村法道知事や干拓地営農者らは11月14日、林芳正(はやし・よしまさ)農水相と省内で会談し、地裁決定を踏まえて開門を見送るよう求めた。開門を強行した場合、中止するまで制裁金を科す間接強制を申し立てる構え。
国は開門を実施しても、見送っても制裁金の支払いを求められる可能性も出てきた。(SANKEI EXPRESS)