≪焦る米が歩み寄り 欧州には警戒感≫
暗礁に乗り上げていたイラン核協議が大きく動き始めた。核開発を止められず焦燥感を強める米国と制裁に国民の不満が高まるイラン。国交断絶中の両国は袋小路に陥った協議打開へ直接会談を重ねた。だが、協議は11月10日、核問題の包括解決へ向けた「第1段階」の措置に合意できないまま終了。ケリー米国務長官は「著しい前進」と成果を強調したが、米欧6カ国間の足並みの乱れがあらわになるなど、今後の曲折が予想される展開となった。
体制維持のため軟化
「この機会を逃してはならない」。ジュネーブで交渉の先頭に立つイランのザリフ外相は協議初日の(11月)7日、米テレビのインタビューで訴えた。
保守穏健派のハサン・ロウハニ大統領(64)が8月に就任するまで、イランは核開発を国の基幹政策と位置付け、欧米との譲歩をかたくなに拒んできた。柔軟姿勢に転じたのは、イスラム体制維持に向けた危機感が背景にある。
核問題をめぐる欧米の制裁の影響でイラン経済は「がたがたになった」(テヘラン市民)。