【国際情勢分析】
台湾の馬英九(ば・えいきゅう)政権が中国との対話で難局を迎えている。2008年の政権発足以来、経済を軸に対中関係を改善し、中国の干渉を抑制することで台湾の国際空間を広げる「活路外交」を展開してきた馬総統(63)だが、2期目に入り、窓口機関の出先事務所設相互置案など対話は次第に政治分野に足を踏み入れ始めた。しかし内政ではつまずきが目立ち、支持率は9月、政権発足以来最低の11%(民放世論調査)にまで下落。急速な対中接近への野党の反発や市民の懸念は強く、中台相互の市場を一層開放する「海峡両岸(中台)サービス貿易協定」も依然議会で承認が得られていない。
内政混乱 貿易協定に壁
「今の進み具合では議会への上程は少なくとも4カ月後。これは容認しがたい遅さだ」
10月29日、台北市内で開催された台湾人ビジネスマンらの会合で馬総統は焦燥感をにじませて語り、立法院(国会に相当)での中台サービス貿易協定の早期審議の必要性を呼びかけた。