≪北京などに800億円の対策費≫
中国財政省は10月21日までに北京市、天津市、河北省、山西省、山東省、内モンゴル自治区に50億元(約800億円)の対策費を拠出することを決めた。これとは別に上海市は石炭ボイラー禁止や車両走行規制など187項目の対策で微小粒子状物質「PM2.5」の平均濃度を、2017年までに12年に比べて20%削減する独自の数値目標を定めたが、経済活動にブレーキがかかる事態を危惧する声も出ている。
財政省の発表に先立ち、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC、本部仏リヨン)は、「PM2.5」など大気汚染物質による発がんリスクを5段階の危険度のうち最高レベルに分類したと公表。大気汚染の深刻な地域で、がん患者が増える恐れがあると警告した。
北京市など北部6地域での対策では、大気汚染物質の排出削減量や汚染管理対策、PM2.5濃度低下の3項目で改善度を競わせる。特に汚染が激しい河北省に20億元を配分する。排ガス規制をクリアしていない旧型車両、石炭ボイラーなどの規制や禁止、汚染物質を放出する重工業型の工場への規制を強化する。上海市では、火力発電所で脱硫装置を全面配備するほか、汚染物質を排出する工場のリストを公開して対応を求める。