弟の学費稼ぎのため400クワチャ(約8000円)の月給目当てに危険な職に就いたチェンジェラは、何度も中国人に罵倒されたという。「おまえらは奴隷だ。黙って働け」。他に職はない。屈辱に耐えた末に撃たれ、仕事は辞めた。
ザンビアは観光業以外には銅、コバルト生産に頼る脆弱な経済構造のままだ。鉱物資源の開発も外国資本、特に資源供給源確保に熱心な中国の投資が頼りだ。同様の騒動が各地で起きる中、この事件の幕引きは、中国資本への政治的配慮が働いたと指摘される。
チェンジェラが補償金を元手に始めた雑貨店は、鉱山から1キロほど離れた街道沿いにぽつりと立っていた。はだしの少女たちが、野菜や果物を買ってもらおうと、必死で車を追い掛ける。発展の夢からこぼれ落ちた風景。理想に生きた探検家リビングストンを知っているかと尋ねると、チェンジェラは申し訳なさそうに小さく首を横に振った。(敬称略、共同/SANKEI EXPRESS)