また上院外交委員会のロバート・メネンデス委員長(59)も経済制裁がイランを交渉のテーブルにつかせたとして、「イランが核開発を積極的に進める限り、圧力を強めるべきだ」と表明。下院は7月にイランへの追加制裁を科す法案を圧倒的多数で可決しており、上院でも同様の法案が提出される見通しだ。
交渉難航なら中露に接近
ただしイランに対する強硬論には問題も多い。経済制裁緩和の条件を高くすれば交渉が難航することは確実で、その間にもイランが高濃度ウランの製造を続けて、核兵器保有に近づく可能性もある。また経済制裁の強化を続ければ、イランを経済的にロシアや中国に接近させる結果を招き、米国との対立関係がさらに深まる懸念もある。
このためオバマ政権はイランがウラン濃縮活動で一定の譲歩を示せば、一部の経済制裁を緩和して信頼関係を築き、さらなる譲歩を引き出すことも想定している。ウェンディー・シャーマン国務次官(政治担当)は「イランが検証可能で具体的な行動をとるなら、われわれができることもある」と述べた。
ただしオバマ政権が妥協を急げば議会からの強硬な反発にあうことも予想され、微妙なかじ取りが求められている。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)