【佐藤優の地球を斬る】
モスクワ・シェレメーチェボ空港の国際線トランジットエリアに6月23日から滞在していた元CIA(米中央情報局)職員のエドワード・スノーデン氏(30)が8月1日、ロシアに入国した。
<(スノーデン)容疑者の入国について、ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は1日、「米政権からはいかなるシグナルも受け取っていない。大統領はこの問題が米露関係に影響しないようにとの期待を示してきた」と発言。9月にはモスクワで米露首脳会談が予定されており、問題の“火消し”に努める構えを見せた。
米に配慮したいが…
プーチン大統領もこれまで、米国による身柄引き渡し要請には応じられないとする一方、容疑者は亡命を希望していた中南米諸国など「どこにでも飛び立つ権利がある」と主張。ロシア滞在を認める条件として「米国に損害を与える行為をやめること」を挙げ、対米関係に配慮を見せる発言をしていた。
プーチン政権としては、米国への“弱腰”は国内的にも対外的にも見せられないものの、この問題が米国との関係を決定的に悪化させる事態は避けたいのが本音だ。スノーデン容疑者は米国による旅券の失効措置によって身動きのとれない状況に置かれていたため、ロシアは今回の亡命許可を「人道上の決定」などと説明し、冷却期間を置きたいものとみられる>(8月2日付MSN産経ニュース)