【佐藤優の地球を斬る】
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(60)は、「元インテリジェンス・オフィサーなる者は存在しない」という発言をときどきする。インテリジェンス機関に勤務した経験のある者は生涯現役で、国家のために尽くすべきだという倫理観を言い表している。プーチン大統領はKGB(ソ連国家保安委員会)第1総局の工作員として東ドイツで勤務した経験がある。第1総局は対外インテリジェンス担当で、SVR(露対外諜報庁)の前身にあたる。
米国の機密情報を暴露した米中央情報局(CIA)の元職員、エドワード・スノーデン容疑者(30)は6月23日以後、モスクワ・シェレメチェボ空港の国際線トランジット(通過)エリアに滞在している。もっともトランジットエリアには、一般利用者とは切り離された政府高官や外国要人のみが利用できる特別室があり、マスメディアを完全に遮断することができる。このような場所にスノーデン容疑者は隔離されていると筆者は推定している。
ロシアでは、スノーデン容疑者の亡命を受け入れるべきだと主張する政治家や有識者が少なからずいる。6月23日付のロシア紙「イズベスチヤ」(電子版)は、次のように報じた。