ジョー・バイデン米副大統領(70)も10日の開会セッションで「中国は国際的に認められた人権の概念を尊重すれば、もっと強く、安定した、革新的な国になる」と強調した。米国が南シナ海や東シナ海での航行の自由の確保を訴えるのも、中国に国際社会のルールを守らせることにこだわるからだ。
しかし中国側の発言からは国際社会のルールに否定的な姿勢がうかがえる。汪副首相はスピーチで「中国の体制や国益を損なうような考えは決して受け入れられない」と明言した。中国では言論の自由や航行の自由を認めれば国内体制の不安定化や国益を失うことにつながるとの警戒感もあり、米国の主張に応じることは難しいのが現実だ。
両国は協調に向けた一歩を踏み出したものの、その先行きが見通せているわけではない。(ワシントン支局 小雲規生(こぐも・のりお)/SANKEI EXPRESS)