現状では米国と中国の間にはさまざまな摩擦がある。中国の食肉大手、双匯国際は5月、米豚肉加工最大手のスミスフィールド・フーズを47億ドル(約4700億円)で買収することを提案したが、米国内から「知的所有権や食肉の安全性を維持できるのか」との反発があがり、買収交渉は難航している。
また中国は経済成長の結果、エネルギー不足が深刻化しており、シェールガスの増産で価格低下が見込まれる米国産の液化天然ガス(LNG)の輸入を進めたい考えだ。しかし米国は法律で、中国を含む自由貿易協定(FTA)を締結していない国々への輸出には米当局による承認が必要と定めている。このため中国への輸入は実現していない。
「重大な突破口」
今回の会合で両国は、投資協定の協議を加速させることで合意した。中国側には投資協定が実現すれば、双匯国際が提案しているような買収交渉をスムーズに進められるとの期待がある。逆に米国では投資協定が実現すれば、外国企業からの投資が制限されている中国国内に、投資がしやすくなるとの希望が広がる。投資協定の対象は全ての産業分野が含まれるといい、ルー財務長官は「重大な突破口になる」と評価する。