だが、歴史的にドイツをはじめ欧州各国は政府の個人情報収集やプライバシー問題に敏感で、欧州議会のマーティン・シュルツ議長(57)は「大西洋の両岸で高いレベルでの個人情報保護を促進する」とし、FTA交渉でも協議すべきだとの考えを示した。米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)も、「米欧FTAはこれまでも、プライバシーの基準や情報産業をめぐる激しい議論と結びついてきた」と指摘する。
オバマ大統領は「交渉で合意するため厳しい問題から逃げないことが重要」としているが、国境を越えたデータのやりとりの自由化は、日本が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉でも検討される見通しで、今後、幅広い経済連携交渉に波紋を広げそうだ。
米国とEUは8日からFTA交渉の初会合を開く。果たして最初から火花を散らす展開となるのか。注目がされそうだ。(ワシントン支局 柿内公輔(かきうち・こうすけ)/SANKEI EXPRESS)