【アメリカを読む】
「2国・地域間の貿易協定では史上最大ではないか。どんなほかの協定よりも大きなインパクトをもたらすだろう」
主要8カ国(G8)首脳会議が開かれた北アイルランドのロックアーン。6月17日、デービッド・キャメロン英首相(46)は記者会見で、米国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)の交渉開始を高らかに宣言した。だが、続くジョゼ・バローゾ欧州委員長(57)、バラク・オバマ米大統領(51)のスピーチはより控えめに感じられた。交渉に横たわる問題の解決の重要性を訴える両者は、米欧FTAの抱える厳しさを浮き彫りにした。
「文化」を対象から除外
以前にもこの欄で取り上げたが、大西洋をまたぐ巨大な通商圏の構築へ向け、いよいよ交渉の号砲が鳴った。米欧の自由貿易の拡大と経済関係の発展に関係者の期待が高まる一方で、米欧FTA交渉は早くも難題に直面している。問題がこじれれば交渉の入り口でつまずきかねない状況だ。
「フランスにとって越えてはならぬ一線だ」