この制度を使わなくても、子供や孫に教育資金を「その都度」渡す場合には贈与税がかからないので、その都度渡しの場合でも一定の相続税の節税効果がある。
あげ過ぎに注意
最後は「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」、いわゆる「結婚・子育て資金の一括贈与」だ。これは、父母・祖父母から、結婚や子育てに関する資金を一括でもらった場合、1000万円までならば贈与税が非課税となる制度だ。
具体的には、結婚式や披露宴、結婚に伴い入居する住まいの家賃・敷金・引っ越し費用などの「結婚資金」や、不妊治療・分娩費用・産後ケアの費用や子供の幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)などの「子育て資金」が対象となる。
ただ、贈与を受けていた人が50歳になったとき、使い切れずに残っていた金額がある場合には、その時点の残額に贈与税がかかるため、あげ過ぎには注意が必要だ。
さらに、この制度には「大きな落とし穴」がひとつある。それは、「贈与した人」が亡くなった時点で、使い切れずに残っていた金額がある場合、その残高に相続税が課されるという点だ。先ほど紹介した「教育資金の一括贈与」にはこのような決まりはないため、その違いには要注意だ。
この制度を使わなくても、子供や孫に結婚・子育てに必要な資金を「その都度」渡すのであれば、贈与税はかからない。(『終活読本ソナエ』2019年新春号から)