さらにさらに、”顧客サービス担当者に求める態度として、日本、イタリアを除く7市場では「効率を重んじること」が最も多く選ばれ、イタリアでは1人の担当者が問題を解決できる「十分な権限を有する」(42%)が1位となるなど、総じて効率が重視される結果となる中、日本だけは「礼儀正しい」(28%)が最も重要視されている”(同調査より)。「サービス効率や迅速な対応よりも礼儀正しさの方が大事」って、なんだか日本だけベクトルが特異じゃない?
それならその分、日本のお客さまは独自の確固たるサービス選択眼やサービスの何たるかへの信条を持っているのかと思いきや。
”新しい購入を決定する際に、決め手となる基準として、日本、インド、メキシコでは「企業の評判」を最重要視する人が多く(中略)日本市場での第2位は「オンライン・ソーシャルメディアの口コミ」(20%)で、1位の「企業の評判」(35%)と合わせると55%になり、過半数の人が「評判」や「口コミ」といった、社会や第三者の評価を購入決定の際に基準にしていることがわかりました。”
社会や第三者の評価が基準とは……またここでも日本人の大好きな「世間の評判」、「同調圧力」の登場である。
日本が誇る「素晴らしいサービス」の当然視こそ、働き方改革のボトルネック
こういう同質社会における他者への期待値は、そのまま他者から本人への期待に跳ね返る。他人に「俺に滅私奉公的な良いサービスをするのが当たり前」と期待するのは、すなわちそれだけのサービスや価値を自分もまた提供することに同意署名しているわけで、それゆえの自縄自縛的な過重労働社会が一丁あがりなわけだ。冒頭の、フライト中に和食がなくて怒り出した年配のサラリーマンは、ひょっとしたら過労で疲れ果てて、「俺がこんなに疲れてすり減っているのに、CAが俺を軽んじてバカにしていやがる!」みたいな被害妄想もあったのかもしれない。まったく、滅私奉公なんてするもんじゃない。