学生たちはこれを国の学生ローン(もちろん金利が付きますよ)で返済するわけですが、現在、こうした政府の学生ローンの総貸出残高は710億ポンド。日本円にして何と約9兆8800億円にものぼります。
マンチェスター・メトロポリタン大学で栄養学を学ぶ女子学生フィオナラ・アレンさん(2年生)は前述のインディペンデント紙に「(授業の合間に)月30時間ほど働いていますが、稼いだお金の殆どは家賃、食費、光熱費に消えてしまいます。授業中や勉強している時にもお金のことを考えねばならないのは本当にストレスフルです。私とルームメートは1週間、米と豆だけで過ごすこともあります」と話しました。
おまけに、こうした大学生たちの状況はさらに悪化するとみられています。大きな理由のひとつは英で進むインフレと賃金ダウンです。
2月15日付のインディペンデント紙によると、英の物価は今年1月、約2年半ぶりの高水準となり、ある財団の調査によると、適切な生活水準を保てない人々がここ6年で400万人から1900万人に急増。一方、2008年以来、平均的な物価は3割アップしたにも関わらず、平均所得が上がった人々は全体の約半数しかおらず、多くの世帯がギリギリの生活を強いられていると言います。
さらに、こうした高額の授業料や生活費の高騰、そしてEU(欧州連合)からの離脱後の経済不安要因から、英の大学への入学を希望するEU圏内の高校生が減少していることです。昨年度の出願総数は前年度比5%減の46万9490人でしたが、EU圏内からの出願総数は7%減。ここ10年で初めて減少に転じたのでした(2月2日付インディペンデント紙)。