日本の夫が家事・育児をしないのは「男は仕事、女は家庭」という古くさい考えがいまだに根強いからではない。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子(かなこ)研究員は「男性の長時間労働が最大の原因。やりたくてもできない」と、夫たちを“擁護”する。
独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、日本の男性就業者のうち週49時間以上の長時間労働をしている人は30%を占める。10%程度の欧州諸国の3倍だ。天野氏は「長時間労働を前提とした働き方を改めることが必要。そのためには男性と女性が仕事をシェアし、時間当たりの労働生産性を高めることが重要になる」と訴える。
少子高齢化で労働人口が減少し潜在成長率がじり貧となる日本にとって、より効率的に仕事を行い、労働生産性を高めることが重要視されている。日本生産性本部によると、日本の26年の就業1時間当たりの労働生産性は41・3ドルで、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国中21位、先進7カ国で最下位に甘んじている。これに対し、夫の育休取得率が約90%に達し、家事・育児従事時間も1日当たり3時間12分(うち育児は1時間13分)というノルウェーは、日本の倍以上でOECD2位の85・6ドルを誇る。