「ぼくは、へいせいにじゅうよねんうまれです。よんさいになりました」
ピカピカに磨かれた蒸気機関車「きかんしゃトーマス」号には、7両の客車が連結された(後に到着した千頭駅でわかったことだが、約1時間の走行後はすすで汚れるため「子どもたちの夢を壊さないように」と、機関士や車掌が出発前も到着後も手作業で丁寧に磨き上げている)。前方車両は、大井川本線沿線の保育園に通う子どもたちが、すし詰め状態に座ってはしゃいでいる。へ~、平成24年ってつい最近じゃん、もうこの連載始めてたよ……。
ま、私も昭和の香りをしっかり漂わせているわけだが、この客車の“昭和感”といったらどうだろう。SLがきれいにドレスアップしているのに比べて、三角旗やヘッドカバーでそれなりに見せてはいるものの“うらぶれた昭和のおっさん”みたいなくたびれた感じが妙に落ち着く。こないだ生まれた子どもたちにとっては、古めかしい扇風機が回っているのも、窓が重くてガタピシいうのも、すべてが新鮮なようで、歓声を上げている。
「こちらは旧国鉄の客車をそのまま使っておりますので、エアコンは付いておりません。本日は暑いですので窓を開けておりますが、トンネルが続くエリアに入りましたら、窓を閉めてください」と言うのは、車掌の柴祐介さんだ。普段は運転士として乗務することもあるそうだ。